CP(コンピュテーショナル・フォトグラフィー)は、スマートフォンやPCメーカー、そして当然SDメモリーカードメーカーを含む、写真に携わるほぼすべての種類の企業に、何らかの影響を与える可能性があります。またCPはソフトウェアベースであるため、大容量ファイルのストレージのみならず、ソフトウェアを実行する処理能力にも影響します。
顧客が一般ユーザーかプロの写真家かという事は、関係はありません。CPは市場のあらゆるセグメントに根本的な変更を促し、そして近い将来、写真を撮影するすべての人に影響を与えるでしょう。
写真の未来に対応するため、CPについて知っておくべきことを以下にご紹介いたします。
CPの可能性
写真の分野において、CPはデジタル写真以来の最も劇的な変化となります。CPでは従来のデジタル写真のようにシャッターを切った瞬間に捉えた、単独の画像情報の処理にはとどまらないのです。
CPでは、シャッターを押すことは始まりにしかすぎません。直後でも、数年後でも、軸を移動したり、3D画像やパノラマ画像にしたり、さまざまな加工ができるようになります。光量が低い場所でも、光感度が高いセンサーのお蔭で高品質の写真が撮影できます。またセンサーは従来の写真のように縦横の方向だけでなく、奥行の光量の測定もできます。これにより3D加工が可能になるのです。
画像や動画からは正確に内部構造や奥行などを細部まで測定することができるため、扱いやすく正確な室内などの立体図を作成することができます。緊急時に人命救助をする際などにも、見取り図を探しに行くといった所要時間を大幅に短縮するといった大変有益な使い方も可能です。
ストレージへの影響
CPがもたらす大きな可能性をユーザーが余すところなく活用するためには、適切なストレージソリューションが必要です。CPはソフトウェアベースとなるため、デバイスストレージ容量増加の必要性は高まるでしょう。 International Data Corporation (IDC)は、長期的にはCP使用により内部デバイスメモリーが増加し、CP関連機能使用のためにストレージへの要求も高くなると予測しています。
多岐にわたる情報を含むファイルが大容量になることは明らかです。そのため撮影者には、適切な数の写真を保存できる能力があるデバイスや、ストレージが必要になります。最高の写真が撮れる一瞬を目前に、「メモリーが一杯です」というエラーメッセージは誰も見たくないものです。容量を空けているうちに、最高の一瞬を逃してしまうでしょう。
IDC はまた、メーカーは2つの方法でこうしたニーズに応えるだろうと予測しています。
- CPの高度なアプリケーションが使用できるようになるホスト内部ストレージ容量と性能の向上
- ユーザーが手を止めて容量の制限を考える必要がなく写真を撮影し続けることができる、大容量のSDメモリーカードとmicroSDメモリーカードに対する需要の増加
内部ストレージに対するニーズは、特にモバイルデバイスに関しては非常に高くなる事が考えられますが、同時にユーザーはSDメモリーカードやmicroSDメモリーカードといった形で追加ストレージを使用できる柔軟性も期待するはずです。特にタブレットのようなデバイスは、ストレージ拡張に関してさまざまなオプションに対応するように設計されています。
高性能カメラ付きデバイスを例として見ても、市場で発表されたばかりの次世代大容量カードの設計をサポートするように開発されています。ユーザーがより高いスピードクラスの高速処理のカードを購入し始めていることからも、これはカード容量の問題だけでないことを示唆しています。カードのデータ書き込み/読み込み速度も重要なのです。特にタブレットにmicroSDスロットを搭載するメーカーが増えるでしょう。こうしてユーザーは自分のニーズに合わせ、カードを追加してストレージ拡張をする柔軟性を享受することができます
デバイスの機能構成への影響
競争力を維持するために、デバイス設計には強大なストレージと処理能力が必要です。デバイスの仕様が十分でない場合、その企業の製品はユーザーを満足させることができず、ユーザーは他社の製品を探すことでしょう。例えば連続撮影モードは、数秒で大量の写真を連写します。しかし大容量ファイルの処理速度が遅い場合、連写の間隔が空いてしまい、撮りたい大切な一瞬を逃してしまうでしょう。
プロの写真家にとって、機材のタイムラグを待つことなく、確実に写真にアクセスし編集するための適切なデバイスの機能構成は必須です。仕事を抱えているときに、画面上の砂時計を眺めながら待たされるのが好きな人はいないでしょう。またそういったユーザーは、効果的に画像を加工するために必要な機能がすべて付いたデバイスを必要としています。
アプリケーションの進化はいかにストレージ設計に影響を与えるか
今、私たち一人一人が、パワフルで安価に撮影できるデバイスを持つようになりました。こうした手軽さにCPの可能性が加わることで、新しいアプリケーション開発の世界は今後広がっていき、そして今は想像もしていないアプリケーションが開発されるようになることでしょう。しかし、こうしたアプリケーションをもしデバイスで使用できないとなると、メーカーとしての企業競争力を維持できるわけがありません。
新しいストレージ技術の開発者は、アプリケーション開発者と緊密に提携し、現在市場に投入されている高性能デジタル写真アプリケーションを将来まで見据えて、デバイスを完全に活用できるようにしなければなりません。最新世代のアプリケーション開発者であれば、より高い可能性を探るために高性能で大容量のストレージが必要となるでしょう。
私たちにとってのモバイルの役割は、大きく変わりつつあります。そしてその流れについていくには、CPに必要なストレージ機能構成とアプリケーション処理速度をデバイスに付加する事は必須です。
業界の行く末をしっかりと見つめることで、モバイルの将来に影響を与えていくことは可能です。そして、そのためにやるべきことは明確です。それは、次世代システムを予測し、それにあった最高のストレージソリューションを開発することなのです。
クリス・シュートは IDC‘のグローバル中小企業とデジタル画像プラクティス担当のバイスプレジデントです。モバイルソリューションのSMB採用などのデジタル画像の技術トレンドに注目しています。
ドリュー・ヘンリーは サンディスクのシニアバイスプレジデント兼モバイル・アンド・コネクテッドソリューションのジェネラル・マネージャーです。組み込み製品ロードマップの開発推進を担当しています。
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