SDIO標準化の歴史

SDIO規格は2001年に策定され、Bluetooth®、GPS、カメラなどのSDIO標準機能カード規格を策定することでSDホスト機器の普及に貢献しました。

Common SDIO Cards

SDバスの特徴である複数デバイス接続機能を利用することにより、(スロットを専有しない)組み込み型のSDIOデバイスが徐々に普及していき、接続容易性と高いSDバス性能により、SDIOインターフェースの関心はさらに高まりました。組み込み型SDIOソリューションにより、ホストシステムはいつでもSDIOデバイスが利用でき、ユーザはいつでもSDカードスロットに挿したSDメモリーカードを利用できるシステムが構築可能になります。
現在、最も一般的なI / O機能はシステムSOCに統合されており、SDIOは主に、より高いビットレート通信を追求する無線規格の急速な進歩によりSOC統合に適さない無線通信デバイスに利用されています。

標準SDIO機能

SDIO機能の標準化は、固有の機能ドライバのインストールを不要にすることで、誰でもSDIOカードを即座に使用できるようにする仕組みです。
ただし、固有機能ドライバをホストシステム(OS)にプリインストールできる場合や、インターネット経由で特定のドライバを(自動的に)インストールできる場合は、SDIO機能の標準化は必須ではありません。 それより、SDIOデバイスを(統一的に)制御するためには、機能アプリケーションインタフェース(API)の標準化が、はるかに重要であると考えられます。 ただし、APIはOSの種類に依存してしまいます。
SDIO LAN Controllerのケースでは、市場にすでにいくつかの異なるレジスタ・インタフェースを持つLANコントローラが存在していたため、どれかひとつを選んで標準SDIO LAN Controller規格として定義することはできませんでした。


Simplified Version of SD Host Controller Spec

iSDIO仕様

インテリジェントSDIO(iSDIO)は、SDIOコンボカード規格のサブセットとして2013年に策定されました。使用するSDIOレジスタを選別し(仕様を)簡素化しています。 iSDIOはカードコントローラを介し、I/O機能とメモリの間で直接データ転送が行える特徴があります。(内部転送は)SDバスの速度制限やホストオーバーヘッドの影響を受けないため高速なデータ転送が可能です。また無線接続機能があるiSDIOデバイスは、SDバスインタフェースからだけでなく、無線インタフェースからもメモリをアクセスすることができます。標準iSDIO機能として WLANやTransferJetなどを標準化しました。

iSDIO Specification


Simplified Version of SD Host Controller Spec

機能拡張仕様

SDメモリーカードを使うSDホスト機器は多数ありますが、SDIOを扱えるものは少ない状況にありました。メモリは512バイトのアクセス単位でデータ転送を行うのに対し、I / O機能の制御には、バイト単位のレジスタアクセスが必要なため、メモリ専用ホストコントローラはSDIO制御に適していないと考えられていました。
この問題を解決するために物理層Ver.4.10から「機能拡張仕様」が導入されました。
機能拡張仕様を用いると、メモリ用ホストコントローラであっても、レジスタ空間をバイト単位でアクセスすることができます。

iSDIO仕様が「機能拡張仕様」を採用したことにより、ほとんどの既存SDホスト機器で、iSDIOコンボカードが使えるように実装することができます。
iSDIOカードは、SDIOコマンドだけでなく機能拡張コマンドも実装できます。 機能拡張コマンドを用いることで、幅広く各種SDホストでiSDIOカード利用をできるようにする一方、高速実行できるSDIOコマンドを用いることで、効率の優れた制御が行えます。その他の利点としては、SDIOは初期化時に(カード情報を取得するために)「タプル」チェーンの探索という面倒な処理が必要でしたが、iSDIOでは、(「タプル」を廃止し、一回のリードで取得できる) General Informationでカード情報が取得できます。

コンボカードの種類

コンボカードには2種類あります。

(1)
Part A1, A3 ASSDは、スイッチファンクションコマンドセットを使用するSDカードのセキュリティインターフェイスです。 例えば、SmartSDはASSDコンボカードで作られています。
(2)
Part E7 iSDIO仕様は、SDIOインターフェイスを簡略化していますが、むしろ自由度が高いコマンドセットに拡張されています。 そのためコンボカードを作る場合は、SDIO規格ではなくiSDIO規格を採用することを勧めます。 (Part E7の)WLANカードとTransferJetカードはiSDIO仕様準拠したコンボカード規格です。

SD Standards Family